経営管理ビザ取得厳格化の中で「共同経営」は本当に可能か?

公開日:2025年12月27日

2025年10月16日、経営管理ビザの審査基準が大きく改正されました。
今回の改正は単なる条件変更ではなく、制度の性格そのものを変えるレベルの厳格化と言ってよい内容です。

主な変更点は以下のとおりです。

  • 資本金要件:500万円 → 3,000万円
  • 日本人等の常勤職員1名の雇用義務化
  • 申請人要件として
    ①経営経験3年以上 または ②経営管理系の修士号以上 を要求

これにより、「とりあえず会社を作ってみる」「小規模で様子を見る」といった従来型の申請は、ほぼ通らなくなりました。

最近、急増している相談

改正後、私の事務所に特に多く寄せられているのが、次のような相談です。

「1人で3,000万円は難しい。
友人と1,500万円ずつ出資して共同経営にすれば、経営管理ビザは取れますか?」

結論から申し上げます。

共同経営での申請自体は制度上可能です。
しかし、2025年改正後は、
「資金調達の手段としての共同経営」は極めてリスクが高い
という点を、最初に強くお伝えしておく必要があります。

安易な共同経営は、2人とも不許可になる「共倒れ」を招きかねません。

 

改正後の「共同経営」に立ちはだかる最大の壁

入管実務上、1社で複数の外国人が「経営管理」ビザを取得することは、もともと例外的扱いです。

2人同時に許可されるためには、以下の2点が不可欠です。

  1. 事業規模の合理性
    → 2人の経営者を置く必然性があるか
  2. 経営活動の明確な区分
    → どちらかが他方の「補助」や「部下」になっていないか

2025年改正で何が変わったのか

今回の改正で、資本金は3,000万円となりました。
そのため、

「3,000万円あれば、すでに十分な事業規模では?」

と考える方も多いでしょう。

確かに、金額だけを見れば、以前より事業規模を示しやすくなった側面はあります。
しかし、ここで新たに重くのしかかるのが、申請人要件の厳格化です。

 

【最重要】共同経営では「2人とも」申請人要件を満たす必要があります

改正後の制度では、経営管理ビザの申請人に対し、

  • 経営経験3年以上
    または
  • 経営管理に関する修士号以上

が求められます。

共同経営の場合の注意点

この要件は、2人とも満たしていなければなりません。

つまり、

  • 「Aは経営経験あり」
  • 「Bはお金だけ出す」

という構成は、新制度下ではほぼ不可能です。

以前は、
「代表者だけ要件を満たしていれば、もう1人は役員として認められる」
という判断が出るケースもありましたが、
2025年改正後は、その期待は持たない方が安全です。

 

審査官を納得させる「役割分担」の絶対ルール

共同経営の不許可理由で最も多いのが、

「2人の役割が実質的に重複している」

という判断です。

以下のような説明は、入管には通用しません。

  • 「2人で相談して経営します」
  • 「代表と副代表です」
  • 「忙しい時はお互いにフォローします」

これらはすべて、
「責任の所在が不明確」=経営者が1人で足りる
と判断される典型例です。

 

通りやすい役割分担の具体例

【パターンA:機能別分担(最も現実的)】

役員A(代表取締役・CEO)

  • 経営戦略
  • 資金調達・財務管理
  • 人事・労務
  • 対外契約の最終責任

👉 会社の「ヒト・カネ」を統括する経営責任者

役員B(取締役・CTO/CMO 等)

  • 技術開発・品質管理の統括
  • マーケティング戦略
  • 専門部門のマネジメント

👉 現場作業者ではなく、専門部門の最高責任者

【パターンB:事業・地域別分担】

  • 役員A:日本国内事業の統括、許認可管理
  • 役員B:海外事業、輸出入・海外提携の統括

👉 物理的・機能的に1人では管理できない構造を示すことが重要です。

 

「口頭説明」ではなく「文書」で立証する

共同経営は、説明できるかどうかではなく、書類で示せるかどうかがすべてです。

必須となる資料

  1. 定款
  2. 役員の業務分掌を定めた議事録
  3. 組織図
  4. 専門家確認済みの事業計画書

組織図の注意点

  • Aの下にBがいる構図 → NG
  • AとBが並列で、それぞれ部下を持つ → 必須

今回義務化された常勤職員1名が、
どちらの指揮命令系統に属するのかも明確に示します。

 

改正特有の注意点①:常勤職員と「現場作業」

よくある失敗が、

「役員Bが現場を回せばいい」

という発想です。

たとえば飲食業で、

  • 役員A:経理・経営
  • 役員B:厨房で調理

という構成は、
Bが「経営管理」ではなく「技能労働」と判断される可能性が高く、非常に危険です。

現場業務は雇用した常勤職員が担い、
役員はあくまで「管理・統括」に徹する必要があります。

 

改正特有の注意点②:資本金3,000万円の考え方

ここが、最も誤解されやすいポイントです。

「1,500万円ずつ出せばOK」ではありません

資本金3,000万円は、あくまで最低要件です。

共同経営の場合、審査官は次を見ています。

  • 役員報酬 × 2名
  • 常勤職員給与
  • 家賃・運転資金
  • 初年度赤字リスク

👉 「この資金規模で、本当に2人の経営者が必要か?」

という視点です。

実務上、
資本金3,000万円ちょうどの共同経営案件は、かなり厳しく審査される
と考えておくべきでしょう。

 

まとめ:共同経営は「資金調達策」ではない

2025年10月改正後の経営管理ビザは、

「本気で、日本で事業を成長させられる経営者」

だけを対象とする制度に変わりました。

共同経営で評価されるのは、次のようなケースです。

  • 2人とも経営の専門家である
  • 役割分担が不可逆的に分かれている
  • 2人いることで事業が加速する合理性がある
  • 資本・人材に十分な余力がある

逆に、

  • 資金不足を補うため
  • 仲が良いから
  • とりあえず2人で始めたいから

という理由での共同経営は、
新制度下では通用しません。

共同経営を検討している場合は、
会社設立や登記をする前の段階での設計が極めて重要です。
一度作った構成は、後から修正するのが非常に困難だからです。

当事務所では、
新基準を前提とした事業計画の設計、
共同経営における役割分担・立証資料の作成まで、
一貫してサポートしています。

「この構成で本当に2人必要か?」
その問いに、書類で答えられるかどうかが、
2025年以降の分かれ目です。

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