ビザの在留期間「1年」と「3年・5年」の違いはどこで決まるのか?

公開日:2026年6月15日

在留資格の更新手続を経験された方から、「同じ業務内容なのに、知人は3年なのに自分は1年だった」「次は3年を狙いたいが、何を改善すればよいのか分からない」というご相談を多くいただきます。在留期間の長短は、単に運や審査官の気分だけで決まるものではありません。

出入国在留管理庁は「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」を公表しており、申請者の活動内容、在留状況、在留の必要性などを総合的に考慮して、更新の可否や在留期間が判断されます。実務上も、活動実績、納税状況、所属機関の安定性、届出義務の履行状況など、複数の要素が総合的に見られます。

本稿では、在留期間「1年」と「3年・5年」を分ける具体的なポイント、そしてより長期の在留期間を目指すために何を準備すべきかを、実務の視点から整理してお伝えします。短期間の判定を受けてしまった方の「次回はどう動けばよいか」というご質問にも、できるだけ実例に即してお答えしていきます。

在留期間は法律と省令で定められている

外国人の在留期間は、入管法第2条の2第3項に基づき、在留資格ごとに法務省令で定められています。たとえば「技術・人文知識・国際業務」では5年、3年、1年又は3月、「経営・管理」では5年、3年、1年、6月、4月又は3月といった区分が用意されています。

重要なのは、これらは在留資格ごとに定められた期間の区分であり、申請者全員が自動的に5年を取得できるわけではないという点です。実際の運用では、初回申請や勤務・事業実績がまだ十分に確認できない場合、1年となるケースも多く見られます。その後、更新を重ねながら、活動実績や所属機関の安定性などが確認され、段階的に長期化していくことがあります。

在留期間は、申請人の活動実績、所属機関の安定性、素行、納税状況など、さまざまな要素を加味して個別に判断されるため、同じ在留資格でも結果は大きく異なります。

また、在留期間の判断は更新申請のたびに改めて行われます。そのため、過去に3年を取得していたとしても、状況が変われば次回は1年に短縮されることがあります。逆に、これまで1年を続けていた方が、勤務実績や納税状況の改善により、次回から3年を取得できるケースも実務上見られます。

在留期間を分ける5つの判断要素

出入国在留管理庁が公表している「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」では、在留資格該当性や上陸許可基準への適合性に加え、在留状況、素行、独立生計、雇用・労働条件、納税義務の履行、社会保険への加入など、複数の観点が示されています。実務上、在留期間の長短に影響しやすい要素は、次のように整理できます。

  • 在留状況の安定性
    これまでの在留期間中に、法令違反、不法就労助長、刑事処分などがなかったかが確認されます。住居地の届出や所属機関に関する届出を正しく行ってきたかも重要です。届出を怠っていた期間が長い場合、在留管理上の信頼性に影響する可能性があります。
  • 所属機関の安定性・継続性
    勤務先または経営する会社の事業規模、業歴、決算内容、雇用保険・社会保険の加入状況などが評価されます。上場企業やこれに準ずる規模の会社に所属している場合、所属機関の安定性は高く評価されやすい傾向があります。一方で、中小企業や設立間もない会社であっても、事業実体や継続性を資料で丁寧に示すことが重要です。
  • 納税義務・公租公課の履行
    住民税、所得税、法人税、社会保険料などの納付状況は重要な確認事項です。未納や滞納がある場合、長期付与に不利に働きやすくなります。納税証明書や課税証明書、社会保険料の納付状況に不備がないか、更新前に確認しておくことが大切です。
  • 申請内容との整合性
    申請時に提出した活動内容が、その後の在留中も継続して履行されているかが確認されます。転職や事業内容の大幅な変更があった場合は、在留資格該当性や活動内容との整合性が改めて確認されるため、慎重な判断として短い在留期間となることがあります。
  • 立証資料の充実度
    雇用契約書、登記事項証明書、決算書、給与明細、源泉徴収票、取引契約書など、提出資料の信頼性と内容が重要です。資料が不足すると、活動実態や継続性を十分に確認できず、短期間の付与となる可能性があります。逆に、十分な資料で活動実態を立証できれば、長期付与を目指しやすくなります。

「1年」になりやすい典型的なケース

実務で「1年」判定を受けやすいケースは、おおむね以下のように整理できます。

まず、勤務先や経営する会社の業歴が浅いケースです。設立2〜3年未満の会社の場合、事業継続性をまだ十分に立証できないことがあります。そのため、慎重な判断として1年が付与されやすくなることがあります。

次に、決算が赤字または債務超過のケースです。経営・管理ビザでは特に事業の継続性が重要になります。複数年連続で赤字が続いている場合、事業の継続性や収益性について、より丁寧な説明と資料提出が必要になります。

三つ目は、住民税や社会保険料などの納付に遅れがあるケースです。納税証明書や納付状況を示す資料に未納・滞納が確認されると、長期付与に不利に働く可能性があります。未納がある場合は、更新申請前にできる限り整理し、その経緯や改善状況を説明できるようにしておくことが重要です。

また、転職直後の更新申請や、申請から審査までの間に勤務先が変わった場合も、所属機関の安定性や職務内容との整合性が再確認されるため、短期間判定になりやすい傾向があります。

さらに、過去に届出義務違反、虚偽申告、在留資格の取消事由に関係するような事実があった場合も、長期付与は難しくなる可能性があります。

なお、1年判定は必ずしも「悪い結果」という意味ではありません。引き続き適法に在留し、勤務実績、事業実績、納税・社会保険の履行状況を積み重ねれば、次回以降に長期化を目指せる余地があります。

「3年・5年」を取得しやすいケース

一方、3年・5年といった長期の在留期間が付与されやすいのは、次のような状況です。

勤務先の業歴が長く、上場企業またはこれに準ずる規模である場合。本人がその会社で数年以上継続して勤務しており、雇用契約や職務内容が安定している場合。納税・社会保険料の納付に問題がなく、過去の更新でも大きな指摘を受けていない場合です。

経営者の場合は、複数年にわたり安定した売上や利益を計上していること、従業員を雇用していること、事業所として実体のあるオフィスを確保していることなどが評価されやすくなります。単に形式的な会社を維持しているだけではなく、実際に事業が継続して運営されていることを資料で示すことが重要です。

特に経営・管理ビザについては、在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正が2025年10月16日に施行され、事業実体や公租公課の履行状況などがより丁寧に確認される運用となっています。長期付与を目指す場合には、形式的な要件だけでなく、事業の継続性、収益性、経営者としての活動実態を、これまで以上に具体的な資料で立証することが大切です。

長期化のためにできる具体的な準備

次回の更新で1年から3年へのステップアップを目指すために、今から着手できる準備は次のとおりです。

第一に、納税証明書、課税証明書、納付状況を示す資料を取得し、未納がないかを確認します。万一の滞納があれば、更新申請前にできる限り完納し、延滞税の有無も確認しておくことが望ましいです。過去に滞納があった場合でも、現在は解消されていること、今後は適切に納付する体制が整っていることを説明できるようにしておきましょう。

第二に、社会保険・雇用保険の加入状況を見直します。法人であれば、原則として社会保険の適用対象となります。未加入や保険料の未納は、在留期間の判断において不利に働く可能性があります。個人事業主の場合も、国民健康保険や国民年金の納付状況を確認しておくことが重要です。

第三に、勤務実績や事業実績を裏付ける資料をそろえます。会社員であれば、雇用契約書、給与明細、源泉徴収票、職務内容説明書などが考えられます。経営者であれば、決算書、総勘定元帳、取引契約書、請求書、入金記録、事業計画の進捗資料などが重要です。可能であれば、過去2〜3期分の資料を整理し、事業が継続していることを分かりやすく示せるようにしておきましょう。

第四に、住居地や所属機関に関する届出をきちんと行ってきたかを確認します。転居、転職、退職、会社名変更などがあった場合、必要な届出を怠っていないかを確認し、未提出があれば早めに是正することが大切です。

第五に、経営・管理ビザの場合は、事業所、常勤職員、資本金、事業内容、許認可、公租公課の履行状況など、改正後に重視される項目を個別に確認します。単に書類をそろえるだけでなく、事業の実体と継続性を説明できる状態にしておくことが、長期付与を目指すうえで重要です。

まとめ

在留期間が「1年」になるか「3年・5年」になるかは、入管法と関係省令のもとで、在留状況、所属機関の安定性、納税・社会保険の履行状況、申請内容との整合性、立証資料の充実度といった複数の要素を総合的に評価して決定されます。

1年判定を受けた場合でも、悲観する必要はありません。次回の更新までに、納税、社会保険、勤務実績、事業実績、届出義務の履行状況を丁寧に整えれば、長期化を目指すことは十分に可能です。重要なのは、更新直前に慌てて準備するのではなく、日々の事業運営や生活の中で、記録と実績を積み重ねていくことです。

行政書士事務所シクロでは、経営管理ビザをはじめとする就労系在留資格の更新手続について、長期付与を視野に入れた事前準備のご相談を承っております。「次回は3年を取得したい」「現状で何を改善すべきか分からない」「過去に短期判定を受けたが、原因を整理したい」とお考えの方は、行政書士事務所シクロまでお気軽にご相談ください。一人ひとりの状況に合わせて、長期付与に向けた具体的な準備プランをご提案いたします。

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