家族滞在ビザの対象者は?内縁の妻や両親を呼び寄せることはできるか?

公開日:2026年6月19日

はじめに

「家族滞在ビザで両親を呼び寄せたいのですが、可能ですか?」「内縁の妻も対象になりますか?」―こうしたご質問をよく受けます。

家族の在り方は国や文化によって異なります。だからこそ、誰が「家族」として日本に呼び寄せられるのかは、外国人の方とそのご家族にとって極めて切実なテーマです。

結論を先にいうと、家族滞在ビザの対象は厳しく限定されています。今回は、対象範囲とよくある誤解を整理し、ご家族の呼び寄せ計画を立てる際の参考にしていただきます。

家族滞在ビザの法的根拠と対象者

家族滞在は、出入国管理及び難民認定法別表第一の四の表に定められた在留資格です。対象になるのは、一定の就労系在留資格や留学などの在留資格をもって在留する外国人の「扶養を受ける配偶者または子」です。

ポイントは、「配偶者」と「子」の2種類が中心であるということです。具体的には、次のような関係が該当します。

  • 法律上の配偶者(夫または妻)
  • 実子(嫡出子・非嫡出子を問わない)
  • 養子(特別養子縁組または普通養子縁組による)
  • 再婚相手の子などについては、養子縁組の有無や扶養実態など、法的な親子関係・身分関係を資料で説明できるかが重要

単に「同居している」「生活費を出している」という事情だけでは、家族滞在の対象者に含まれるとは限りません。家族関係を証明する婚姻証明書、出生証明書、戸籍謄本、養子縁組に関する証明書などを準備できるかが重要です。

内縁関係(事実婚)は対象になるか?

結論からいうと、日本の家族滞在ビザでは、内縁関係(事実婚)の相手は原則として対象になりません。

家族滞在における「配偶者」は、法律上の婚姻関係にある人を指します。そのため、たとえ何年も同居し、共同で家計を営んでいたとしても、婚姻証明書などで法律上の配偶者であることを証明できなければ、家族滞在の被扶養者として認められることは難しいです。

「本国では事実婚が一般的で、戸籍制度がない」という国もあります。その場合は、本国法上どのような関係が法律上の婚姻として扱われるのかを確認し、婚姻証明書やそれに準ずる公的書類を取得できるかを検討する必要があります。必要に応じて、日本の在外公館での手続や、本国側の婚姻登録手続を確認することも大切です。

なお、扶養者本人が「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」といった身分系の在留資格を持っている場合は、家族滞在とは別の在留資格の論点になります。家族滞在に該当しないからといって、すべての可能性が閉ざされるわけではありません。個別のケースで検討する価値があります。

両親や兄弟は対象になるか?

残念ながら、両親や兄弟姉妹は、家族滞在ビザの対象外です。たとえ高齢の母親を呼び寄せて介護したい、独身の妹を日本で生活させたいという事情があっても、家族滞在では対応できません。

両親を呼び寄せる方法としては、短期滞在で一時的に来日してもらう方法や、一定の要件を満たす高度専門職外国人の親として「特定活動」を検討する方法、ご両親自身が就労、経営・管理、留学などの在留資格を取得できるかを検討する方法などがあります。

ただし、短期滞在はあくまで一時的な滞在のための在留資格であり、日本で長期的に同居して介護するための在留資格ではありません。また、高度専門職外国人の親の帯同についても、世帯年収、同居、7歳未満の子の養育、妊娠中の支援など、厳格な要件があります。簡単に認められるものではない点に注意が必要です。

兄弟姉妹についても同様です。本人が独立して、就労、留学、その他の在留資格を取得する必要があります。

成人した子どもは対象になるか?

「子」については、年齢だけで直ちに家族滞在の対象外になるわけではありません。ただし、家族滞在は「扶養を受ける配偶者または子」としての日常的な活動を予定する在留資格です。そのため、実際に親の扶養を受けているかどうかが重要です。

たとえば、大学・大学院に在学中で、生活費や学費を親に依存している子であれば、成人していても家族滞在が認められる余地があります。一方、すでに就職して独立した生活を送っている成人の子どもは、家族滞在の趣旨に合わないと判断されやすくなります。

判断は個別事情によります。迷うケースでは、出入国在留管理局に事前相談するか、行政書士に相談することをおすすめします。

同性のパートナーは対象になるか?

日本の家族滞在ビザでは、同性のパートナーは原則として対象になりません。家族滞在における「配偶者」は、法律上の婚姻関係にある配偶者を前提としているためです。

ただし、当事者双方の本国で同性婚が法的に有効に成立している場合などには、家族滞在とは別に、「特定活動」の在留資格が個別に認められる可能性があります。これは家族滞在とは別の枠組みであり、申請要件や審査の運用が異なります。

同性パートナーの在留は、国籍、婚姻成立地、本国法、日本での生活実態などによって検討すべき資料が変わります。詳しくは、出入国在留管理庁の最新情報や専門家への相談を通じて確認してください。

扶養者の在留資格による違い

家族滞在ビザで呼び寄せができるかどうかは、扶養者の在留資格にも左右されます。

たとえば、教授、経営・管理、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、技能、特定技能2号、高度専門職、文化活動、留学などは、家族滞在の対象となる在留資格に含まれます。

一方、特定技能1号、技能実習、育成就労(令和9年4月1日施行予定)などでは、原則として家族の帯同は認められていません。特定技能1号については、すでに日本にいる配偶者や子について、人道上の配慮から「特定活動」への変更が認められる場合がありますが、新たに家族滞在として呼び寄せる制度とは異なります。

社員の在留資格を確認せずに「家族を呼べます」と案内してしまうと、後でトラブルになりかねません。企業の人事担当者の方は、扶養者本人の在留資格を必ず確認してください。

扶養能力の証明はどうすればよいか

扶養能力は、家族滞在ビザの審査で必ず見られるポイントです。扶養者の課税証明書、納税証明書、在職証明書、給与明細、預金残高証明書、事業所得を示す資料などを提出します。

収入については、「年収いくら以上であれば必ず許可される」という一律の公表基準があるわけではありません。配偶者と子1人を扶養する場合と、配偶者と子3人を扶養する場合とでは、必要とされる生活費の水準も変わります。居住費、家族構成、扶養人数、学費、預貯金、事業所得の安定性なども総合的に見られます。

収入額だけで諦めるのではなく、家賃負担が低い事情、十分な預貯金、継続的な収入見込みなど、扶養能力を補強する資料を組み立てることが大切です。

よくある誤解とその答え

家族滞在で来日した妻は、すぐにフルタイムで働けますか?

原則として、家族滞在のままフルタイムで働くことはできません。資格外活動許可を取得すれば、原則として週28時間以内のアルバイトが可能になります。

フルタイムで働きたい場合は、技術・人文知識・国際業務、特定技能など、本人の職務内容や経歴に合った就労系在留資格への変更を検討する必要があります。

子どもを連れて来日しましたが、その後に日本で生まれた子も家族滞在になりますか?

日本国内で出生した子が日本国籍を取得しない場合で、出生後60日を超えて日本に在留しようとするときは、出生の日から30日以内に在留資格取得許可申請を行う必要があります。

両親の在留資格や扶養状況に応じて、家族滞在などの在留資格を取得することになります。手続きを忘れると、在留資格がない状態になってしまうおそれがありますので、出生届や本国への出生登録、パスポート取得の準備とあわせて、早めに進めることが重要です。

離婚した場合、家族滞在のビザはどうなりますか?

家族滞在は、扶養者の配偶者または子として扶養を受けることを前提とする在留資格です。配偶者として家族滞在を持っている人が離婚した場合、原則として家族滞在の資格該当性を失います。

引き続き日本に在留したい場合は、定住者、就労系在留資格、留学など、別の在留資格への変更を検討する必要があります。離婚後もそのまま放置せず、早めに専門家へ相談してください。

個別ケースの取り扱い:例外と運用

本記事で「対象外」と書いた区分でも、個別の事情によっては別ルートで在留資格が認められる場合があります。

たとえば、扶養者が高度専門職の在留資格を持っている場合、一定の要件のもとで親の帯同や家事使用人の帯同が認められる特例があります。親の帯同については、世帯年収、同居、7歳未満の子の養育、妊娠中の支援などの条件を満たす必要がありますが、通常の家族滞在では呼べない両親を呼び寄せられる貴重なルートです。

また、扶養者が永住者や日本人配偶者の場合、子どもの扱いに連れ子や養子縁組の事情が絡むケースも珍しくありません。「家族滞在ではない別の在留資格」を組み合わせれば、当初の希望に近い形で家族の在留を実現できることもあります。

複雑な事情を抱えているご相談者ほど、最初から「無理だ」と諦めずに、選択肢を一度俯瞰してみることをおすすめします。

申請から来日までの時間軸

対象範囲が確認できたら、次に意識したいのが時間軸です。

在留資格認定証明書(COE)交付申請の標準処理期間は、入管庁の案内では1か月から3か月とされています。その後、本国での査証申請については、申請内容に特に問題がない場合は5業務日が目安とされていますが、追加確認や面接、混雑状況などにより、それ以上かかることもあります。

さらに、来日準備、航空券、住居、学校、勤務先との調整などを考えると、全体として3か月から6か月程度の見込みを持って動き出すと無理がありません。

「来月にも家族を呼びたい」という相談は、実務上かなり難しいことが多いです。計画段階で現実的なタイムラインを共有することが、依頼者の満足度にも直結します。

まとめ

家族滞在ビザは、原則として「配偶者」と「子」に限定されています。両親や兄弟、内縁の相手、同性パートナーは、家族滞在の対象には通常含まれません。

誤った前提で計画を進めてしまうと、ご本人にとってもご家族にとっても大きな失望につながります。初動の段階で、誰が対象になるのか、どの在留資格で呼び寄せるべきなのかを正確に把握しておくことが大切です。

もっとも、個別の事情によっては、家族滞在以外の在留資格で道が開けるケースもあります。「これは無理」と早合点する前に、行政書士事務所シクロにご相談ください。経営・管理ビザ、就労ビザ、身分系ビザを含めた総合的な視点で、最適な解決策をご提案します。

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