家族滞在ビザ申請のステップ・バイ・ステップガイド

公開日:2026年6月22日

はじめに

「日本で働き始めたので、母国に残してきた家族を呼び寄せたい」というご相談を毎月のように受けます。配偶者や子どもを日本に呼び寄せる場合に検討する在留資格が「家族滞在」です。在留資格としては比較的シンプルに見えますが、申請段階では書類の整え方や扶養能力の証明など、つまずきやすいポイントが意外と多くあります。

今回は家族滞在ビザを取得するための申請プロセスをステップ・バイ・ステップでご紹介します。これから家族を呼び寄せようと考えている方や、社員の家族呼び寄せをサポートする企業のご担当者の参考になれば幸いです。

家族滞在ビザの基本

家族滞在ビザは、就労や留学などの在留資格を持つ外国人(扶養者)の被扶養者として、日本に在留するための在留資格です。入管法上、対象となる活動は、一定の在留資格をもって在留する人の扶養を受ける配偶者または子として行う日常的な活動とされています。

重要なのは、家族滞在で在留する人は、原則として就労を目的とする活動ができないという点です。アルバイトなどを希望する場合は、資格外活動許可を受けたうえで、許可された範囲内で働く必要があります。一般的には週28時間以内の範囲で認められることが多いですが、実際に働く前に、許可の内容を必ず確認してください。フルタイムで働く場合は、別の就労可能な在留資格への変更を検討する必要があります。

ステップ1:扶養者の在留資格と要件を確認する

最初に確認したいのは、扶養者自身の在留資格と要件です。家族滞在の対象となるかどうかは、扶養者の在留資格によって異なります。たとえば、技術・人文知識・国際業務、経営・管理、留学など、家族滞在の前提となり得る在留資格がありますが、具体的な可否は在留資格ごとに確認する必要があります。

一方で、技能実習や特定技能1号など、原則として家族の帯同が想定されていない在留資格もあります。この点は誤解されがちなので、社員から家族呼び寄せの相談を受けたら、最初に確認すべきポイントです。

また、扶養者は被扶養者を経済的に支える能力(扶養能力)が求められます。給与水準、勤続期間、貯蓄状況、扶養する家族の人数などが審査上の重要な要素になります。

ステップ2:必要書類を準備する

家族滞在ビザの代表的な必要書類は次のとおりです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書(日本から家族を呼び寄せる場合)
  • 申請人(家族)の写真(原則として縦4cm×横3cm)
  • 扶養者と申請人の関係を証する書類(戸籍謄本、結婚証明書、出生証明書など。海外発行の書類は日本語訳を添付)
  • 扶養者の在留カードまたは旅券のコピー
  • 扶養者の住民税課税証明書および納税証明書(直近年度分)
  • 扶養者の在職証明書または職業を証する書類
  • 扶養者の銀行口座の残高証明書(必須書類ではない場合でも、扶養能力を補強する資料として提出を検討できます)

海外発行の書類は、その国の公的機関が発行したものを用意し、日本語訳を添付します。翻訳者は本人でも対応できる場合がありますが、翻訳者の氏名、署名または押印を明記しておくのが通常です。国や書類の種類によっては、認証や追加説明が必要になる場合もあります。

ステップ3:在留資格認定証明書(COE)交付申請

家族が現在海外にいる場合、最初に行うのが「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請です。扶養者本人、受入機関の担当者、または申請取次行政書士などが、出入国在留管理局に申請します。

COE交付申請の標準処理期間は案件や時期によって異なりますが、1か月から3か月程度を見込んで準備するのが一般的です。繁忙期や追加資料が必要な場合は、それ以上かかることもあります。家族の来日希望時期から逆算して、余裕を持って申請することをお勧めします。

詳細な申請手続きは出入国在留管理庁の公式サイトで確認できます。最新の様式や提出書類が更新されている可能性があるため、申請直前に必ず公式情報をチェックしましょう。

COEが交付されたら、申請人(家族)へ共有します。紙のCOEの場合は本国へ郵送し、電子的に交付された場合は、在外公館での査証申請に使える形で共有します。COE交付後の来日手続きについては、「在留資格認定証明書(COE)が交付された!来日までの手続き完全ガイド」も参考にしてください。

ステップ4:在外公館でビザ申請

COEを受け取った家族は、本国または居住地を管轄する日本大使館・領事館などの在外公館で査証(ビザ)を申請します。

一般的な提出書類は次のとおりです。

  • パスポート
  • ビザ申請書
  • 写真
  • 在留資格認定証明書(紙のCOE、または電子COEの提示・印刷物など)
  • 在外公館が指定するその他の書類

標準的な査証審査期間は、申請内容に特に問題がない場合で5業務日程度とされていますが、国や時期、追加確認の有無によって変動します。また、COEがある場合でも、査証発給が必ず保証されるわけではありません。査証やCOEには有効期間があるため、期限内に上陸申請ができるよう、来日予定日を調整しましょう。

ステップ5:来日と在留カード交付

ビザを取得した家族が来日すると、上陸審査を受けます。中長期在留者として上陸が許可される場合、主要空港では上陸許可時に在留カードが交付されます。空港で交付されない場合は、旅券に後日在留カードを交付する旨が記載され、住居地の届出後に在留カードが交付されます。

住居地を定めたときは、原則として住居地を定めた日から14日以内に、市区町村役場で住居地の届出を行う必要があります。これを怠ると入管法上の不利益につながるおそれがありますので、忘れずに対応しましょう。

ステップ6:アルバイトを希望する場合

家族滞在ビザの本人がアルバイトをしたい場合は、別途「資格外活動許可」を申請します。許可されると、許可内容の範囲内で就労が可能になります。一般的には週28時間以内の範囲で認められることが多いですが、実際の許可内容を確認することが重要です。

資格外活動の範囲を超えて働くと不法就労となるおそれがあり、本人だけでなく雇用主にも不法就労助長罪のリスクが及びます。家族滞在で来日したご家族をアルバイトとして雇用する企業のご担当者は、必ず資格外活動許可の有無と週時間管理を確認してください。

よくある不許可ケースと対策

家族滞在ビザの不許可で多いのは、次のようなケースです。

1つ目は、扶養能力の証明不足です。扶養者の収入が低い、貯蓄が少ない、扶養家族数に対して所得が見合っていないと判断されると、不許可となる可能性があります。対策としては、収入証明と貯蓄証明をしっかり整える、必要に応じて複数年の納税状況を説明する、家計収支の説明書を添付するなどがあります。

2つ目は、婚姻の実態への疑義です。結婚証明書だけでは婚姻の実態を十分に説明できず、写真、メッセージ履歴、送金記録、同居期間の説明書など、関係性を補強する書類が求められることがあります。

3つ目は、書類の不備や翻訳の不正確さです。海外発行書類の翻訳が不正確だったり、出生証明書と戸籍の表記が一致しなかったりすると、追加資料の提出を求められて時間がかかります。氏名、生年月日、続柄、発行機関名などは、特に慎重に確認しましょう。

まとめ

家族滞在ビザは、ご家族を日本に呼び寄せるための重要な在留資格です。手続き自体は決して難しいものではありませんが、扶養能力の証明、関係性の証明、海外発行書類の整え方など、実務上の細かいポイントで差がつきます。

申請から来日まで数か月単位の時間を要することがあるため、できるだけ早めに準備を始めるのが成功への近道です。書類準備や申請手続きでお困りの方は、ぜひ行政書士事務所シクロにご相談ください。経営管理ビザや就労ビザと併せて、ご家族の在留資格も含めた総合的なサポートをご提供しています。

申請のチェックリスト(実務担当者向け)

社内で外国人社員の家族呼び寄せをサポートする場合、人事・労務担当者として確認しておきたいチェックポイントを整理しておきます。社員本人の在留資格が家族呼び寄せ可能なものかを確認し、本人の課税証明・納税証明の最新年度分を準備するよう案内します。海外発行の婚姻証明書や出生証明書には日本語訳が必要であることを伝え、翻訳者の署名や押印を忘れないように共有しましょう。

COE交付申請の処理期間を踏まえ、来日希望時期から逆算して動き出す必要があります。会社として住宅手当や住居あっせんを支援するのか、家族の医療保険・健康保険の手続きをどうフォローするのかも、社内ルールを事前に整理しておくと案内がスムーズです。書類のミスや扶養能力の証明不足は申請の遅延や不許可に直結することがあるので、社内で家族呼び寄せの相談を受けたら、初動の段階で書類の優先順位を提示してあげることが、社員からの信頼につながります。

来日後の生活立ち上げサポート

申請が許可されてご家族が来日した後も、当面のサポートが必要です。住民票の登録、健康保険への加入、子どもがいる場合は学校編入の手続きなど、日本特有の事務手続きがいくつもあります。会社として全部抱える必要はありませんが、最低限「どこに行けば誰が対応してくれるか」を案内できるようにしておくと、本人と家族の生活立ち上げがスムーズになり、社員の定着にもつながります。

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