日本でレストランを開業したい外国人へ:経営管理ビザ取得の全プロセス

公開日:2026年7月14日

はじめに

日本で本格的な自国料理のレストランを開きたい、飲食ビジネスで日本市場に挑戦したいと考える外国人の方は少なくありません。実際、日本全国に広がるエスニック料理店やアジア系飲食店の多くは、外国人オーナーによって運営されており、飲食業は外国人起業家にとって身近なビジネス分野のひとつです。

一方で、経営管理ビザをめぐっては、2025年10月16日の基準改正以降、これまで以上に社会的な関心が高まっています。新基準での更新審査や、在留資格の趣旨に沿わない利用が問題視されるケースが報道されるなど、単に「会社を作ればビザが取れる」という時代ではなくなっています。

だからこそ、外国人の方が日本でレストランを開業し、経営者として事業を運営するためには、在留資格との関係を正しく確認することが大前提となります。活動内容に合わない在留資格のまま事業経営を行うと、在留資格上の問題が生じるおそれがあります。どれほど優れた料理の腕前や事業アイデアがあっても、在留資格の要件を満たさなければ、安定して開業・経営を続けることはできません。

この記事では、外国人がレストランをはじめとする飲食店を日本で開業する際に重要となる「経営・管理」ビザ(以下、経営管理ビザ)の取得プロセスについて、要件から申請の流れまで詳しく解説します。行政書士事務所シクロが実務的な観点からご説明しますので、ぜひ参考にしてください。

レストラン開業に必要な在留資格

外国人が日本で飲食店を経営するには、出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、活動内容に合った在留資格が必要です。特に、事業のオーナーや経営者として飲食店を運営する場合は、原則として「経営・管理」の在留資格(経営管理ビザ)を検討することになります。

「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格は、基本的には日本の会社等に雇用されて専門的業務に従事する方向けの在留資格です。自分で事業を立ち上げ、代表者・経営者として経営判断を行う場合は、通常、その活動内容に合った在留資格を取得または変更する必要があります。

また、短期滞在や留学などの在留資格のまま、経営者として継続的に飲食ビジネスを運営することはできません。日本で会社を設立したり店舗物件を探したりする準備段階であっても、実際にどの在留資格で、いつから経営活動を行うのかを早い段階で整理しておくことが重要です。

なお、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者など、就労制限のない在留資格を持つ方は、経営管理ビザ以外の形で事業経営が可能な場合があります。そのため、まずは現在の在留資格と予定している事業内容を個別に確認することが大切です。

経営管理ビザの取得要件

経営管理ビザを取得するためには、主に以下の要件を満たす必要があります。特に2025年10月16日施行の制度改正以降、新規取得の審査では、事業の実体、事業規模、経営者としての適格性、事業計画の合理性がより重視されています。

事業所の確保(独立した事業所の設置)

経営する事業のための独立した事業所(オフィス・店舗)を日本国内に確保することが必要です。レストランの場合は、実際に営業を行う店舗物件を確保し、店舗として使用できる権限を説明できる状態にしておく必要があります。

飲食店の物件は一般的に賃貸借契約が中心となります。申請では、賃貸借契約書、不動産登記事項証明書、店舗の使用目的、図面、写真などにより、事業所としての実体を示すことが重要です。自宅兼事務所や住居兼店舗のような形態は、事業所の独立性・継続性の説明が難しくなる場合があり、特に飲食店では店舗としての実体が明確であることが求められます。

事業規模・資本金等の要件

2025年10月16日施行後の新基準では、従来の「資本金500万円以上または常勤職員2名以上」という考え方ではなく、より厳格な事業規模の説明が必要です。

新規申請では、原則として、事業に用いられる財産の総額(資本金の額および出資の総額を含む。)が3,000万円以上であることに加え、経営または管理に従事する者以外に、一定の要件を満たす常勤職員を1人以上雇用することが重要なポイントとなります。

レストランの場合、物件の保証金、内装費、厨房設備、什器、広告宣伝費、開業後の運転資金など、初期投資が大きくなりやすい業種です。そのため、単に資本金の額を示すだけでなく、資金の出所、送金経路、事業への投入計画、開業後の資金繰りまで説明できるようにしておく必要があります。いわゆる「見せ金」と判断されないよう、実際に事業に使用する資金としての実体を示すことが重要です。

事業の継続性・安定性

申請に際しては、事業が安定的・継続的に経営される見通しを示す必要があります。具体的には、事業計画書の作成・提出が重要です。

レストランであれば、立地、ターゲット顧客、客単価、客席数、回転率、営業時間、メニュー構成、仕入先、人件費、家賃、広告費、売上予測、損益分岐点などを盛り込んだ説得力ある事業計画書が審査の鍵となります。

飲食業は、業態や立地によって収支の差が大きく、開業後の固定費も重くなりやすい業種です。数字の根拠が薄かったり、売上予測が楽観的すぎたりすると、事業の継続性・安定性を十分に説明できない可能性があります。

申請者の経営経験・学歴等

新基準では、申請者本人の経歴についても確認が重要になります。経営・管理に関する実務経験や、経営管理に関する分野または申請する事業に関連する分野の博士・修士・専門職学位などを示す資料が求められる場合があります。

原文でよく見られる「経営・ビジネス系の学部を卒業していればよい」という理解だけでは不十分です。申請者がレストラン経営者として、資金計画、人材管理、店舗運営、許認可対応、マーケティング、会計管理などを実際に担えることを、経歴資料や事業計画書の内容と整合させて説明する必要があります。

日本語能力・事業計画書の評価

新基準では、経営者または常勤職員の日本語能力を明らかにする資料や、経営・管理に関する専門的な知識を有する者による評価を受けた事業計画書の提出も重要になっています。

レストラン経営では、保健所、消防署、不動産会社、金融機関、税理士、従業員、取引先などとのやり取りが発生します。日本語での実務対応体制をどのように確保するのかも、事業の安定性を説明するうえで大切な要素です。

レストラン開業に特有の注意点

飲食業は、経営管理ビザの申請において他業種とは異なる検討事項があります。

食品衛生と許認可

日本でレストランを開業するには、食品衛生法に基づく営業許可(一般的には飲食店営業許可)など、営業内容に応じた保健所への手続きが必要です。深夜0時以降に主に酒類を提供する営業を行う場合は、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要になることもあります。

これらは在留資格の申請とは別の手続きですが、経営管理ビザ申請の事業計画書では、必要な許認可をいつ、どのように取得する予定かを明記することが重要です。許認可の取得見込みが曖昧なままだと、事業開始の実現可能性に疑問を持たれるおそれがあります。

物件選定と用途地域

飲食店は、どの物件でも自由に出店できるわけではありません。用途地域、建物の用途、排気・排水設備、消防設備、近隣住民との関係、管理規約などを事前に確認する必要があります。

内装工事の内容によっては、建築確認や消防法上の届出が必要になる場合もあります。物件の確認不足で開業が遅延するケースがあるため、契約前の段階から、保健所、消防署、不動産会社、内装業者などと連携して確認を進めることが欠かせません。

調理師・スタッフの雇用と外国人雇用

外国人スタッフを雇用する場合、スタッフ自身の在留資格も確認が必要です。就労が認められていない在留資格の外国人を雇用したり、認められた活動範囲を超えて働かせたりすることは、入管法上の問題につながります。

また、経営管理ビザを取得する本人についても注意が必要です。経営管理ビザは、あくまで事業の経営または管理に従事するための在留資格です。レストランのオーナーが経営業務として、仕入れ、売上管理、人材管理、メニュー開発方針の決定、広告戦略、取引先との交渉などを行うことは自然ですが、現場の調理やホール業務だけに従事している状態では、経営者としての活動実態を説明しにくくなります。

事業計画書の質が審査を左右する

飲食業は、廃業率が高い業種とされることもあり、入管当局の審査では事業の継続性・安定性の説明が特に重視されます。立地条件、競合状況、ターゲット顧客、メニュー・価格設定、収支シミュレーションなどを論理的に組み立てた事業計画書が必要です。

たとえば、「本場の料理だから人気が出る」という説明だけでは不十分です。周辺人口、競合店舗、家賃、人件費、仕入れ価格、客単価、営業時間、席数、回転率など、数字と根拠に基づいて計画を示す必要があります。

経営管理ビザ取得の申請フロー

実際の申請から許可取得までのプロセスは、概ね以下のとおりです。

STEP 1:事前準備(事業計画・物件・法人設立等)

まず、レストランのコンセプトを固め、事業計画書を作成します。次に、物件を選定し、店舗として使用できるかを確認します。必要に応じて賃貸借契約を締結し、内装工事や許認可の見込みも整理します。

レストラン開業で経営管理ビザを新規に申請する場合は、実務上、日本法人(株式会社または合同会社など)を設立し、法人として事業を行う体制を整えるケースが中心になります。法人名義で物件契約、資本金・出資金の準備、常勤職員の雇用、事業計画書の作成、許認可の取得見込みなどを一体として整理していきます。

なお、制度上は外国法人の日本支店など、法人設立以外の形で整理されるケースもあり得ます。ただし、飲食店を新規に開業する場面では、事業所・資金・雇用・許認可の実体を明確に示す必要があるため、どの事業形態を選ぶべきかは、申請前に個別に検討することが重要です。

STEP 2:申請書類の作成と提出

在留資格の申請書類一式を揃え、管轄の出入国在留管理局に申請します。主な資料として、申請書、事業計画書、法人の登記事項証明書、賃貸借契約書、事業所資料、資本金・出資金や事業用財産を示す資料、常勤職員に関する資料、必要な許認可に関する資料などが想定されます。

海外から日本に入国して経営を始める場合は、在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行います。すでに日本に在留している場合は、現在の在留資格や活動内容に応じて、在留資格変更許可申請などを検討します。在留資格取得許可申請は、出生など特定の事情で日本に在留資格なく在留することになった場合など、別の場面で問題となる手続きです。

STEP 3:審査・追加資料対応

審査では、事業の実体、資金の出所、事業所の独立性、事業計画の合理性、常勤職員の雇用状況、許認可の見込みなどが確認されます。事業計画の内容によっては、追加資料の提出が求められることがあります。

追加資料の依頼に対しては、単に書類を出すだけでなく、なぜその資料で要件や事業実体を説明できるのかを整理して対応することが重要です。特に飲食店の場合、開業前の段階では売上実績がないため、計画の根拠を丁寧に示す必要があります。

STEP 4:許可・在留カード取得と開業

許可が下りたら、海外からの申請では査証申請・上陸手続を経て、日本で在留カードを取得します。日本国内での在留資格変更が許可された場合は、新しい在留資格に基づいて事業の経営活動を行うことになります。

その後、保健所への食品営業許可申請、消防署への届出、深夜営業に関する警察署への届出が必要な場合の手続きなどを完了させ、正式な開店に向けて準備を進めます。開業後も、税務、労務、社会保険、在留期間更新に向けた事業実績の管理を継続することが大切です。

経営管理ビザ申請でよくある失敗パターン

実務上、以下のような理由で不許可や審査長期化になるケースが多く見られます。

事業計画書の数字に根拠がない、または楽観的すぎる場合は、審査で指摘を受けやすくなります。たとえば、席数や営業時間に対して売上予測が過大であったり、人件費や家賃、仕入れ費を十分に見込んでいなかったりすると、事業の継続性に疑問を持たれる可能性があります。

申請時点で物件の使用権限が不明確な場合も問題です。仮契約の段階、使用目的が住居のままの契約、店舗営業が管理規約上認められない物件などは、事業所要件の説明が難しくなります。

資金についても注意が必要です。事業用資金を一時的に用意しただけで、資金の出所や送金経路を説明できない場合、いわゆる「見せ金」と疑われるリスクがあります。申請書類の記載内容と添付書類に矛盾がある場合も、審査が長期化しやすくなります。

さらに、飲食店では許認可の取得見込みが曖昧なまま申請してしまうケースもあります。保健所、消防署、警察署への確認が不十分なまま事業計画を作成すると、開業時期や設備計画にズレが生じ、事業の実現可能性を十分に示せなくなるおそれがあります。

これらのミスを防ぐためにも、早い段階から専門家へ相談し、在留資格、会社設立、物件、許認可、事業計画を一体として整理することが重要です。

まとめ

日本でレストランを開業したい外国人の方にとって、経営管理ビザの取得は夢への第一歩です。しかし、その取得プロセスは複雑で、事業計画書の作成から法人設立、物件確保、資金計画、常勤職員の雇用、許認可の確認まで、多岐にわたる準備が必要です。

特に2025年10月16日施行後の新基準では、従来よりも事業規模や経営者としての適格性、事業計画の合理性が厳しく見られるようになっています。不備があれば不許可になるリスクもあり、一人での対応には限界があります。

行政書士事務所シクロでは、経営管理ビザの申請サポートを専門に承っております。飲食業特有の事業計画書作成から申請書類の整備、入管当局とのやりとりまで、一貫してサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

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