2025年10月16日施行!経営管理ビザ改正「3年以上の経営経験」とは?大学院の期間は含まれる?

公開日:2025年11月14日 / 更新日:2025年11月19日

2025年10月16日施行!経営管理ビザ改正「3年以上の経営経験」とは?大学院の期間は含まれる?

 

2025年(令和7年)10月16日、日本の在留資格「経営・管理」(一般に「経営管理ビザ」と呼ばれます)の取得要件が、過去に例を見ないほど大幅に改正・施行されました。

これは、日本で会社を設立し、事業を行おうとする外国人の方々にとって、極めて重大な変更です。これまで「資本金500万円」というイメージが強かった経営管理ビザですが、そのハードルは劇的に引き上げられました。

今回の改正の背景には、日本経済に真に貢献し、持続可能で安定した事業を展開できる、質の高い経営者・管理者に来てほしいという国の意図が明確に表れています。

数ある変更点の中でも、特に多くのお問い合わせを頂いているのが、新設された「経歴・学歴要件」、とりわけ「3年以上の経営経験」という項目です。

  • 「具体的にどんな経験を指すのか?」

  • 「部長や課長でもいいのか?」

  • 「MBA(経営学修士)などを取得するための大学院の在学期間は、この3年に含まれるのか?」

本日は、これらの疑問に徹底的にお答えするため、2025年10月16日施行の改正内容を、どこよりも詳しく解説していきます。日本での起業を少しでもお考えの方は、必ず最後までお読みください。


第1章: 2025年10月改正の衝撃!経営管理ビザはこう変わった

 

まず、今回の改正で何が変わったのか、その全体像を把握しましょう。特に影響の大きい5つの変更点をまとめました。

  1. 資本金要件の大幅引き上げ

    • 【旧】500万円以上

    • 【新】3,000万円以上

    • 事業規模の要件が、従来の6倍に跳ね上がりました。個人事業主の場合も、投下されている事業資金(設備投資、事務所費用、1年分の給与等)の総額で3,000万円以上が求められます。

  2. 常勤職員の雇用義務化

    • 【旧】(資本金500万円があれば必須ではなかった)

    • 【新】常勤職員を1名以上雇用すること(※)

    • (※)常勤職員とは、日本人、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者を指し、他の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)の外国人は含まれません。

  3. 経歴・学歴要件の新設(最重要)

    • 【旧】特になし(事業計画の実現性で判断)

    • 【新】以下のいずれかを満たすことが必須に

      • A: 事業の経営または管理について3年以上の実務経験

      • B: 経営管理に関する博士・修士・専門職の「学位」

      • C: 行う事業に関する博士・修士・専門職の「学位」

  4. 日本語能力要件の新設

    • 【旧】特になし

    • 【新】日本語能力試験N2(またはB2)相当が求められるように

    • これは、日本のビジネス環境での円滑なコミュニケーションや法令遵守のために必要と判断されました。

  5. 事業計画書の専門家確認の義務化

    • 【旧】特になし(推奨)

    • 【新】中小企業診断士などの専門家による確認・評価を受けた事業計画書の提出が義務化

    • 事業の実現可能性や収益性を、第三者の専門家が客観的に評価することが求められます。

これらの変更により、単に「お金(500万円)を用意して会社を作る」だけではビザが取れない時代になりました。「十分な資金力」「雇用創出力」「経営者本人の資質(経験または学歴)」「日本語力」「事業計画の客観的な妥当性」のすべてが厳しく問われることになります。


第2章: 新要件「3年以上の経営経験」の徹底解説

 

それでは、本題である「3年以上の経営経験」について深掘りします。これは、前述の「3.A: 経営・管理の実務経験」を指します。

1. 「経営または管理」の経験とは?

 

条文では「事業の経営又は管理について3年以上の経験」とされています。これは、単なる従業員や平社員としての勤務経験ではなく、事業の意思決定に深く関与し、組織やチームを動かしてきた経験を意味します。

具体的には、以下のような職務経験が想定されます。

  • 「経営」の経験:

    • 法人の代表取締役、取締役、監査役、執行役員などの役員としての経験。

    • 個人事業主(自営業者)として、3年以上事業を運営してきた経験。

    • 親会社の経営幹部として、子会社の設立・運営を主導した経験など。

  • 「管理」の経験:

    • 企業の部長、課長、マネージャー、支店長、工場長など。

    • 単なる「肩書」ではなく、実態として一定の裁量権(予算管理、人事評価など)を持ち、部下を指揮・監督し、部門の業績や運営に責任を負う立場であったことが重要です。

日本国外での経験も、もちろんカウント対象となります。また、法務省の情報によれば、スタートアップビザ(特定活動)を利用した日本での起業準備活動の期間も、この経験に含まれ得るとされています。

2. どのように証明するのか?(立証の壁)

 

この「3年経験」は、申請者自身が客観的な資料をもって証明(立証)しなければなりません。審査官は提出された資料のみで判断するため、ここが最大の難関となります。

必須の証明資料:

  • 在職証明書(過去の勤務先すべて):

    • 単なる在籍期間の証明では不十分です。

    • 以下の内容を具体的に記載してもらう必要があります。

      1. 所属機関の概要(会社名、所在地、事業内容)

      2. 在職期間(合計して3年以上あること)

      3. 具体的な役職名(例:取締役、営業部長)

      4. 具体的な職務内容(ここが最重要。「経営業務に従事」「〇名の部下のマネジメント及び予算管理を担当」など、経営・管理に関わっていたことが明確にわかる記述)

重要となる補強資料(例):

在職証明書だけでは説得力が弱い場合が多いため、以下の資料で補強することが極めて重要です。

  • 法人の役員だった場合:

    • (日本企業なら)商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)

    • (外国企業なら)現地の登記簿謄本やそれに類する公的書類(翻訳付)

    • 株主総会議事録、取締役会議事録

    • 確定申告書(役員報酬欄など)

  • 個人事業主だった場合:

    • 開業届、営業許可証など

    • 過去3年分の確定申告書、納税証明書

    • 主要な取引先との契約書、請求書

  • 管理職だった場合:

    • 当時の組織図(申請者のポジションと、部下の人数がわかるもの)

    • 辞令、労働契約書(役職や職務内容が明記されたもの)

    • 給与明細、源泉徴収票(「役職手当」などが支給されていれば強力な証拠になります)

    • 自身が作成・決裁した稟議書、部下の人事評価シートの控え など

立証の難しさ:

「3年以上の経験があっても、証明が難しい」というケースは往々にしてあります。例えば、「過去の勤務先が既に倒産・廃業している」「円満退社ではなく、詳細な在職証明書の発行に協力してもらえない」といった場合です。

これらの立証資料は、準備に非常に時間がかかります。申請を決意したら、真っ先に収集に取り掛かるべきです。


第3章: 【最重要】大学院の学習期間は「3年経験」に含まれるか?

 

ここが、今回の改正で最も注意すべき「落とし穴」です。

結論から申し上げますと、改正後の新基準では、「3年以上の実務経験」に大学院(修士課程など)の在学期間は含まれません。

なぜ含まれないのか?(改正前後の比較)

 

この疑問が出る背景には、改正前の古いルールの知識が残っている可能性があります。

  • 【改正前】

    • 実は改正前も、申請者が「経営者」本人ではなく、「管理者」(例:雇われ社長や支店長)としてビザを申請する場合、「事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)」という要件がありました。

    • この旧ルールでは、例えばMBA(経営学修士)コースに2年間通った場合、その2年間を「経験」としてカウントし、残りの「実務経験」は1年で良かったのです。

  • 【改正後(2025年10月16日~)】

    • 今回の改正で、このルールが根本から見直されました。

    • 「経営者」も「管理者」も区別なく、全員が以下の「A・B・Cのいずれか」を満たすことが必須となりました。

      • A: 事業の経営または管理について3年以上の「実務経験」

      • B: 経営管理に関する博士、修士、専門職の「学位」

      • C: 行う事業に関する博士、修士、専門職の「学位」

新基準の正しい解釈

 

お分かりでしょうか。

新しい基準では、「3年以上の実務経験(A)」と「修士などの学位(BまたはC)」が、それぞれ独立した、並列の選択肢として扱われています。

つまり、こうなります。

  • パターン1: 大学院(MBAなど)を修了した人

    • → 「学位(BまたはC)」の要件を満たしています。

    • → したがって、3年間の実務経験(A)は不要です。学位証明書を提出すれば、経歴要件はクリアです。

  • パターン2: 大学院は出ていないが、実務経験が豊富な人

    • → 「3年以上の実務経験(A)」の要件を満たしています。

    • → したがって、学位(BまたはC)は不要です。前述の在職証明書などで3年経験を立証すれば、経歴要件はクリアです。

この設計から、大学院の在学期間を「実務経験」の年数に足し合わせる(合算する)ことはできなくなった、と解釈するのが妥当です。「大学院2年 + 実務経験1年 = 合計3年」という計算は、新制度では通用しません。

ただし、大学院で経営管理や関連分野を学んだことは、「学位」要件を満たすだけでなく、中小企業診断士のチェックを受ける事業計画書の説得力や実現可能性を補強する上で、依然として非常に強力なアピールポイントとなります。


第4章: 経過措置と今後の対策

 

「厳しすぎる…」と感じた方も多いでしょう。特に、既に日本でビザを持って経営している方にとっては死活問題です。

1. 既に経営管理ビザを持っている方へ(経過措置)

 

ご安心ください。今回の改正では、既存のビザ保有者に対する「経過措置」が設けられています。

  • 対象: 2025年10月16日の施行日時点で、既に「経営・管理」のビザを持っている方。

  • 内容: 施行日から3年間(2028年10月16日まで)に行う在留期間の更新申請については、新しい基準(資本金3,000万円、常勤職員1名、3年経験or修士学位など)を満たしていなくても、現在の経営状況や、将来的に新基準を満たす見込みがあるか等を総合的に審査し、柔軟に更新の可否が判断されます。

  • 注意点:

    • これはあくまで「猶予期間」です。

    • 3年経過後(2028年10月17日以降)の更新申請では、原則として新基準への適合が必須となります。

    • 今のうちから、増資の計画、常勤職員の雇用、事業拡大による売上・利益の確保など、新基準を満たすための準備を計画的に進める必要があります。

2. これから新規で申請する方へ

 

2025年10月16日以降に新規で申請する方は、即時に新基準が適用されます。

もはや「とりあえず500万円で会社設立」という方法は通用しません。

  1. 資金計画: 3,000万円以上の資本金(または事業投資額)に加え、当面の運転資金(事務所家賃、人件費、諸経費)も必要です。その資金をどうやって形成したのか(見せ金ではないこと)の証明も、より厳格になります。

  2. 経歴の確認: 自分が「3年以上の経営・管理経験」を客観的資料で証明できるか、あるいは「修士以上の学位」を持っているか、を真っ先に確認してください。

  3. 人材計画: 常勤職員1名をいつまでに雇用するのか、その採用計画と人件費予算を事業計画に盛り込む必要があります。

  4. 専門家への相談: 事業計画書の作成・確認は中小企業診断士が必須です。ビザ申請そのものについても、これだけ複雑化した要件をクリアするには、最新の入管法実務に精通した行政書士など、専門家のサポートが不可欠です。


まとめ

 

2025年10月16日の経営管理ビザ改正は、日本における外国人起業の「質」を問う、大きな転換点となりました。

  • 新設された「3年以上の経営経験」は、役員や管理職としての実務経験を指し、客観的な資料による厳格な立証が求められます。

  • 「大学院の在学期間」は、この3年の実務経験にはカウントされません

  • ただし、大学院の「修士(博士)学位」そのものが、実務経験に代わる独立した要件として認められています。

ハードルは非常に高くなりましたが、これは裏を返せば、この厳しい基準をクリアできる、優れた経験や学歴、そして実現可能な事業計画を持つ経営者にとっては、日本社会から「信頼できる経営者」として認められ、安定した在留資格を得る道が開かれたとも言えます。

ご自身の経歴で申請が可能か、どのような資料を準備すべきかご不安な点は、ぜひ専門家にご相談ください。

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