資本金3000万円と従業員雇用の壁。留学生の起業は「無理ゲー」化したのか?J-Findで挑む突破口

公開日:2025年12月6日

2025年10月16日、日本での外国人起業において最も厳しい改正が施行されました。

これまで「資本金500万円」で取得できていた経営管理ビザの要件が、一気に「資本金3000万円以上」へと引き上げられ、さらに「常勤職員の雇用」も必須化されました。

この改正は、事実上の小規模起業の排除」を意味します。

貯金でなんとかなる額ではなくなり、留学生が卒業後にそのまま社長になるルートは99%閉ざされました。

しかし、絶望するのはまだ早いです。この超難関を突破するために残された唯一の「ルート」とも言えるのが、J-Find(未来創造人材制度)です。

本記事では、改正内容の全貌と、資本金3000万円という巨大な壁を乗り越えるための「J-Find活用・資金調達戦略」を徹底解説します。


2025.10.16改正:留学生を襲った「3つの絶望」

まず、どれほどハードルが上がったのか、残酷な現実を直視しましょう。

① 資本金が「3000万円以上」へ爆増

従来の500万円から6倍の3000万円になりました。

学生がアルバイトで貯められる金額ではありません。親からの支援だとしても、3000万円をポンと出せる家庭はごく一部の超富裕層に限られます。

  • 狙い: 日本経済にインパクトを与えられない「小規模な個人事業主レベルの法人」にはビザを出さない、という国の方針転換です。

② 「常勤職員1名以上」の雇用が必須に

これまでは「資本金(500万円)」さえクリアすれば、社長一人の会社でもOKでした。

しかし改正後は、「資本金3000万円」かつ「日本人等の常勤職員1名以上の雇用」というダブル要件(AND条件)になりました。

  • 負担: 起業初日から、自分の給与だけでなく、従業員の給与・社会保険料という固定費が重くのしかかります。

③ 実務経験・学歴の厳格化

この高い資本金要件に合わせ、申請人自身の能力評価も厳しくなりました。

「経営経験なしの学部卒」では、なぜ3000万円規模のビジネスを回せるのかという説明がつかず、事業計画の審査で落とされるケースが急増しています。


なぜ「J-Find」が生存ルートなのか?

この「3000万円+従業員雇用」を、卒業したての留学生が自己資金だけでクリアするのは不可能に近いです。

そこで注目するのが「J-Find(特定活動・未来創造人材)」です。

この制度を利用できれば、日本での留学生起業に希望が見えてきます。その理由は「資金調達(ファイナンス)の時間稼ぎ」にあります。

J-Findの真の価値は「投資家巡り」ができること

自己資金で3000万円用意できないなら、「投資家から集める」しかありません。

しかし、留学生ビザのままでは起業活動(投資家回り)に専念できず、卒業期限も迫ってきます。

J-Findに変更すれば:

  1. 最長2年間の猶予: 卒業後すぐに3000万円を用意しなくて済みます。

  2. 就労可能: 生活費を稼ぎながら、投資家向けのピッチ資料を作ったり、プロトタイプを開発したりできます。

  3. 信用力: 「すぐに帰国しなくていい」という在留ステータスは、投資家(VCやエンジェル)と交渉する上で必須の安心材料です。


【シミュレーション】3000万円の壁を突破する「新・成功モデル」

許可要件が改正された今、「コツコツ貯金」では時間が足りないでしょう。「事業をスケールさせて出資を勝ち取る」スタートアップ型のアプローチに希望の道が開かれます。

J-Find対象大学を卒業したLさんのケースでシミュレーションします。

モデルケース:Lさん(23歳・J-Find対象大卒)

  • 資金: 自己資金200万円

  • 戦略: J-Find期間中にVC(ベンチャーキャピタル)から出資を受ける

【Phase 1】 卒業直後:J-Findへの変更

  • アクション: 卒業と同時に「留学」→「特定活動(J-Find)」へ在留資格を変更。

  • 目的: とにかく日本に滞在する権利と、働く権利を確保する。この時点で経営管理ビザを申請したら100%不許可になるため、絶対に申請してはいけません。

【Phase 2】 1年目:実績作りとチームビルディング

  • アクション:

    • 平日は日本のテック企業で働き、業界の知見を得る。

    • 週末や夜間を使ってプロダクトを開発。

    • ユーザー数や売上の初期実績を作る。これがないと3000万円の出資は難しいでしょう。

  • 重要: 改正で「従業員雇用」が必須になったため、創業メンバー(将来雇う予定の日本人パートナー)もこの期間に探しておきます。

【Phase 3】 2年目:資金調達(ファイナンス)

  • アクション:

    • 作った実績を武器に、日本のVCやエンジェル投資家、大企業の投資部門へピッチを行う。

    • 「3000万円の出資(Equity)」を取り付ける。

    • 投資契約を結び、資本金として登記する。

  • ここがポイント: 入管は「誰が出した金か」を厳しく見ますが、適正なVCからの出資であれば、それは「事業の将来性が評価された」としてプラスに働きます。自己資金ゼロでも、出資金で3000万円を超えれば要件クリアです。

【Phase 4】 ビザ変更申請

  • アクション:

    • 資本金3000万円(出資金含む)で登記完了。

    • 日本人スタッフ1名を正式雇用。

    • ここで初めて「経営・管理ビザ」へ変更申請。

  • 結果: 許可。特定活動(J-Find)の在留資格を活用する現実的なルートです。


 J-Find対象外の学生に残された道は?

「自分の大学はランキングに入っていない…」という学生にとって、3000万円の壁は絶望的に高いです。J-Findが使えない場合、以下の選択肢が考えられます。

  1. 「高度専門職」からの「永住」へ

    • 一旦起業は諦めて日本企業に就職し(就労ビザ)、「高度専門職ビザ」取得を目指してください。

    • ポイント制で最短1年、長くても3年で「永住権」の取得可能です。永住者になれば、「資本金3000万円・従業員雇用」という経営管理ビザの要件自体が適用されなくなります。(日本人の起業と同じ自由度になります)

    • 急がば回れ。現実的なルートです。

  2. 「スタートアップビザ(自治体推薦)」での特例措置

    • 東京都や大阪市、福岡市などの特区を利用すれば、最大1年間は要件が緩和されます。しかし、1年後には結局「3000万円+雇用」の正規要件が求められます。1年でその規模まで成長させる自信がある人のみ挑戦してください。


まとめ:学生気分の起業は終わった。プロの経営者を目指せ

2025年10月16日の改正は、日本政府からの強烈なメッセージです。

「小規模な店をやるならビザは出さない。世界と戦えるスケールの会社を作るなら歓迎する」

資本金3000万円、従業員雇用。

この高いハードルを越えるには、学生アルバイトの延長線上にある起業では不可能です。

J-Findという「猶予期間」を最大限に使い、ビジネスモデルを磨き上げ、投資家を巻き込む。そんな「本物の起業家」だけが、これからの日本でビザを手にすることができます。

厳しい時代ですが、逆に言えば、このビザを取得できた時、あなたはすでに「3000万円の価値がある事業」を持った経営者としてスタートできるということです。

覚悟を決めて、戦略的に動いてください。

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