相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
先生、あけましておめでとうございます! いやぁ、2025年10月の法改正の時は焦りましたけど、なんとか基準が変更になる前に更新できてよかったです。「経過措置(猶予期間)」があるから、あと3年は今のままで大丈夫なんですよね?
回答:行政書士
あけましておめでとうございます、マイクさん。でも、少し認識が甘いかもしれませんよ。 カレンダーを見てください。今は2026年1月。改正法の施行(2025年10月)からすでに3ヶ月が経ちました。 マイクさんに残された時間は、3年ではなく「2年9ヶ月」です。
相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
えっ、そう言われると短く感じますね……。 でも、2028年の10月までに資本金3,000万円にすればいいんですよね? まだ時間はありますよ。
回答:行政書士
その「2028年10月」がデッドラインです。 それ以降の更新申請では、原則として新基準(資本金3,000万円+常勤雇用等)を完全に満たしていないと、ビザの更新ができなくなります。 つまり、そこまでに準備を完了できなければ、日本から退去しなければならない。これが「2028年問題」です。
相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
なるほど……。でも大丈夫です。 私の会社は黒字ですから、これから頑張って利益を出して、会社の通帳に2,500万円貯めます(戦略A)。そうすれば合計3,000万円でしょう?
回答:行政書士
マイクさん、そこが最大の落とし穴なんです。 実は最近、実務家の間で衝撃的な情報が出回っています。 それは、「資本金の額に、利益剰余金(貯めた利益)は含まれない可能性がある」というものです。
相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
……はい? どういうことですか? 会社のお金なのに?
回答:行政書士
入管が見ているのは「会社の口座残高」ではなく、「法務局で登記されている資本金の額」である可能性が高い、ということです。 つまり、いくら通帳に3,000万円あっても、登記簿上の資本金が500万円のままなら、入管は「資本金500万円」としか判断しません。
相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
そんな! じゃあ、ただ貯めるだけじゃ意味がないんですか?
回答:行政書士
その通りです。 もし自分たちの利益でクリアしようとするなら、単に貯めるだけでなく、株主総会を開いて「利益剰余金の資本組み入れ」という登記手続きを完了させなければなりません。
しかも、税金(約30%)を引いた後に2,500万円を残すには、残り2年9ヶ月で約4,000万円の利益を出す必要があります。 Aさんの今のビジネスモデルで、毎年1,300万円以上の利益を出し続けられますか?
相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
よ、4,000万円……。今の売上規模では正直、無理です……。 「貯めればいい」なんて、甘い考えでした。
回答:行政書士
となると、現実的なのは「外部からの増資(戦略B)」です。 親会社や親族、あるいは投資家を見つけて、出資してもらう方法ですね。
相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
わかりました。じゃあ、投資家を探します。 あ、そういえば税理士さんが「増資する時は、幾らかを『資本準備金』にすれば経営に柔軟性が出るよ」と言っていました。それなら3,000万円集めて、資本金を1,500万円にするだけで済みますか?
回答:行政書士
ストップ! それも今は危険です! 現在の情報では、「資本準備金もカウントされない」という見解が出ています。
例えば3000万円の内訳を、資本金と資本準備金1500万円ずつとしても、金融機関等の評価は資本金3000万円と大差ないでしょう。ただし、ビザの審査上は「登記された資本金そのもの」しか見てくれないリスクが高い。 せっかく3,000万円集めても、半分を準備金に入れてしまったせいで「資本金不足で不許可」なんてことになったら、目も当てられません。
相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
うわぁ……。じゃあ、投資家には「経営の柔軟性のメリットは考えずに、全額を資本金に入れてください」と頼まないといけないんですね。
回答:行政書士
その通りです。 だからこそ、理解ある投資家やパートナーを見つけるには時間がかかるんです。「2028年直前に探せばいいや」では手遅れになる理由がわかりましたか?
相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
先生の話を聞いて、急に怖くなってきました。 でも、2028年までは今のビザでいられるんですよね?
回答:行政書士
安心はできません。入管はすでに「選別」を始めています。 これからの更新申請では、「2028年に向けて準備が進んでいるか?」を厳しくチェックされます。もし、ずっと赤字だったり、具体的な増資計画を示せなかったりすると、猶予期間中であっても不許可になる可能性があります。
相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
完全に「猶予期間=のんびりできる期間」だと勘違いしていました。 2026年の今が、勝負の時なんですね。
回答:行政書士
その通りです。 無理に高収益を目指して失敗するより、現実的に「増資パートナーを探す」か、あるいは今のうちに「別のビザ(就労ビザなど)への切り替え」を準備するか(戦略C)。 傷が浅いうちに方針を決める必要があります。
マイクさん、今日気づけて本当によかったですね。 2年9ヶ月あります。今から動けば、十分に間に合います。
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今の決算書で「資本金」はどうなっているか?
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「資本組み入れ」や「外部増資」の準備はできているか?
当事務所では、不確定な情報も含めてリスクを分析し、マイクさんの会社が2028年以降も生き残るためのロードマップを作成します。次は決算書を持ってきてください。
相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)
はい! すぐに持ってきます。 先生、私の会社を守るために、これからも伴走してください!
戦略A:自己資本の蓄積と「資本組み入れ」
自社の利益を積み上げて3,000万円を目指す「王道」ですが、そのハードルは極めて高いと言わざるを得ません。
【現実の厳しさ】 残り期間で2,500万円を上積みするには、法人税等を考慮すると、税引前利益で約3,500万円〜4,000万円を稼ぎ出す必要があります。 さらに、前述のリスクを回避するためには、単にお金を貯めるだけでなく、株主総会を経て「利益剰余金の資本組み入れ」という登記変更手続きまで完了させる必要があります。
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メリット: 経営権を維持できる(株主が変わらない)。
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デメリット: 短期間での超・高収益化が必要不可欠。
「いつか貯まるだろう」では間に合いません。今年の決算から圧倒的な数字を出す覚悟がある企業だけの選択肢です。
戦略B:外部資本の導入(増資)
自力での蓄積が現実的に難しい場合、最も有力な選択肢は「外部からのお金」を入れることです。 親会社、親族、あるいは投資家やVCからの増資を受け入れます。
【ここでの注意点】 通常、増資の際は経営の柔軟性を考慮して、幾らかを資本準備金にすることがありますが、今回のビザ要件においては「全額を資本金にする」のが安全策です。「準備金も認められますか?」という際どい議論を避けるためです。 また、入管は「資金形成過程(お金の出処)」を厳しく審査します。クリーンな資金パートナーを見つけるには時間がかかります。今年中に動き出す必要があります。
戦略C:出口戦略(撤退・資格変更)
非常にシビアですが、2028年までに要件を満たせないと判断した場合、傷が浅いうちに方向転換するのも賢明な経営判断です。
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事業売却(M&A): 事業価値があるうちに第三者へ譲渡し、売却益を得る。
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ビザの切り替え: 経営者としての在留に固執せず、「高度専門職」や「技術・人文知識・国際業務」などへ移行する。
【行政書士からの一言】
この記事を読んでいる経営者の皆様。マイクさんの会話は、決して他人事ではありません。 「知らなかった」で済まされる時期は過ぎました。 手遅れになる前に、ぜひ一度、専門家の診断を受けてください。2028年の壁を、一緒に乗り越えましょう。


