Q&A 新要件『常勤職員』 稼ぐ人を雇え!! 年400万の強制コストを“EC進出の武器”に変える逆転の発想

公開日:2026年1月10日

相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)

先生、新基準の「常勤職員1名雇用」の件ですが、単刀直入に数字の話をさせてください。 日本人か永住者をフルタイムで雇えば、社保を含めて年間最低400万円の固定費増になりますよね。

回答:行政書士

はい、東京都の最低賃金ベースで試算しても、法定福利費を含めればその程度(350万〜400万円)は確実にかかります。

相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)

ご存知の通り、うちは海外製品を国内業者に卸す「輸入卸売業」がメインです。 物流コストや在庫リスクをこちらで吸収している分、粗利はどうしても20%前後にとどまります。 この利益構造で固定費が400万円増えるとなると、損益分岐点が跳ね上がります。

既存のビジネスだけで、さらに年間2,000万円の売上を作らなければ、今の利益水準を維持できません。これは現実的な数字ではない。

回答:行政書士

おっしゃる通りです。現状の「卸売事業」の利益率のままこのコストを吸収しようとすれば、マイクさんの役員報酬を削るか、赤字を許容するしかなくなります。

相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)

そこで確認なんですが、コストを下げるための「雇用の要件」に特例はないんですか? 例えば、私の知人のエンジニア(技術・人文知識・国際業務ビザ)に手伝ってもらう形や、パートタイム契約で社会保険に入らない範囲で雇う、といった方法は?

回答:行政書士

結論から言うと、どちらも不可です。 今回の改正趣旨は「日本人(および永住者等)の雇用確保」にあるため、就労ビザの外国人はカウントされません。 また、「常勤」の実態として社会保険加入が必須化されるため、パートタイムや名ばかりの雇用も審査で否認されます。

相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)

やはりそうですか。 となると、真正面から400万円を負担するしかないわけですね。

 

回答:行政書士

マイクさん、400万円の出費が避けられない以上、計算式の方を変える必要があります。 粗利20%の「卸売り」を拡大するのではなく、以前検討されていた「EC直販(D2C)」に参入するタイミングではありませんか?

相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)

Amazonや楽天への出店ですね。確かに直販なら粗利40%は見込めますが、日本語での顧客対応やページ制作のリソースがなくて棚上げにしていました。

回答:行政書士

今回雇用する日本人スタッフを、その「EC事業の専任担当」にするんです。 もし粗利40%の事業で400万円を回収するなら、必要な追加売上は半分で済みます。

年間1,000万円、月ベースで約83万円の売上なら、新規事業として十分に狙える数字ではありませんか?

相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)

……なるほど。 「管理コスト」として400万払うのは無駄ですが、「新規事業(EC)への投資」として400万使い、そこで1,000万売る。 それなら、既存の卸売業に負担をかけずに済みますね。

回答:行政書士

はい。入管への説明としても、「事業拡大(EC進出)のために日本人スタッフが不可欠である」という論理構成は非常に通りやすいです。

相談者:マイクデービスさん(貿易会社・社長)

わかりました。 方針を変えます。「安い事務員」ではなく、「EC運営経験のある日本人」を探します。 2,000万の卸売り増は不可能でも、1,000万の直販なら勝算がありますから。

回答:行政書士

そのご決断、素晴らしいと思います。 今回の法改正で多くの経営者が「廃業」か「無理なコスト負担」の二択で苦しんでいますが、マイクさんはそれを「事業構造をアップデートする機会」に変えました。

400万円を、ただ制度を守るための「捨て金(サンクコスト)」にするか、次の利益を生むための「種銭(投資)」にするか。ここで経営者の手腕が問われます。

入管の審査官も、単に形式的に人を雇っている会社より、「日本人スタッフのスキルを活かして、新しい販路を開拓しようとしている会社」の方を高く評価します。事業の安定性と継続性が感じられるからです。

この採用が成功すれば、ビザの更新が無事に通るだけでなく、マイクさんの会社は「下請け的な卸売り」から脱却し、より強い会社に生まれ変わるはずです。 良い人材が採れるよう、雇用契約書の内容や条件面も一緒に詰めていきましょう。

【まとめ】

1. 新ルールの「雇用の絶対条件」

  • 義務: 資本金や既存の実績に関わらず、「常勤職員1名以上」の雇用が必須。

  • 対象者: 日本人、永住者、定住者、配偶者ビザのみ。(※就労ビザ、特定技能、留学生は不可)

  • 雇用形態: フルタイムかつ社会保険(社保・労保)加入が必須。名義貸し等の偽装はビザ取消の対象。

2. マイクさんが直面する「数字の現実」

  • コスト増: 給与・賞与・法定福利費を含め、年間約400万円の固定費増。

  • 既存モデルの限界: 粗利20%の「輸入卸売」でこのコストを賄う場合、損益分岐点は著しく上昇する。

    • 結論: 現状のビジネスモデルのままでは、売上負担が大きすぎて経営を圧迫する。

3. 解決策:コストを「投資」に変える

  • 戦略の転換: 「事務員」ではなく、「利益を生む日本人スタッフ(EC担当)」を採用する。

  • 高収益化: 卸売(B2B)から直販(B2C/EC)へ一部シフトし、粗利40%を目指す。

  • 効果: 必要な追加売上目標が半減し、かつ「新規事業(EC)の立ち上げ」という前向きな理由付けで、入管の審査も有利になる。

4. 具体的な役割分担(攻めと守りの分離)

雇用をムダにせず、組織力を最大化するための業務配分。

【社長(マイクさん)の役割】 〜海外・営業特化〜

  • 海外サプライヤーとの交渉(英語/母国語)

  • 新規商材の開拓(目利き)

  • 大口取引先とのトップセールス

【日本人スタッフ(常勤)の役割】 〜国内・実務特化〜

  • 国内物流業者・通関業者との折衝(日本語)

  • 在庫管理・納期管理

  • 日本のECサイト(楽天・Amazon等)の運営・顧客対応

  • 経理・請求書発行などのバックオフィス


【結論】

今回の改正を「理不尽なコスト」と捉えて安く済ませようとすると、ジリ貧になります。 これを「自社がEC直販へ脱皮するための強制的な投資機会」と捉え直し、マイクさんが苦手な「国内実務・EC運営」を日本人スタッフに任せることで、社長自身は「仕入れと営業」に専念する体制を作ることが、唯一の勝算あるルートです。

【行政書士からの一言】

この記事を読んでいただいた経営者の皆様。

今回のマイクさんのように、「粗利20%のビジネスで、固定費400万増はありえない」と頭を抱えている方は非常に多いはずです。しかし、どれだけ数字の矛盾を嘆いても、新しいルールは待ってくれません。

重要なのは、マイクさんが途中で気づいたように、「日本人雇用」を単なるコストとして見るか、ビジネスモデルを進化させるための投資(武器)として見るか、その発想の転換です。

「知らなかった」や「名義貸しでやり過ごそう」という甘い考えは通用しません。それは会社の寿命を縮めるだけです。 手遅れになる前に、今のビジネスモデルで生き残れるのか、一度冷静に計算してみてください。

「2028年の壁」を乗り越え、御社がより強い組織へと生まれ変わるために。 ぜひ一度、専門家の診断を受けてください。

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